笑顔の女性

アーユルヴェーダとは、インド・スリランカ発祥の伝統医療です。これには中国大陸発祥の中医学、古代ギリシャに起源をもつイスラーム文化圏の伝統医療であるユナニ医学と並ぶ伝統的な医学として、およそ五千年の歴史があります。

アーユルヴェーダという言葉は、古代にインドを含む南アジアから東南アジア地域で使用され、現在もインドにおいて公用語の一つに定められているサンスクリット語に由来し、生命を意味するアユースと、知識を意味するヴェーダが合わさった物です。その意味のとおり、アーユルヴェーダは医学のみならず、生命科学や哲学、さらには生活の知恵といった概念を持った考え方が特徴的です。

古代の医学として考え方がまとめられたのは紀元前5世紀から6世紀ごろと考えられており、古代ペルシャや古代ギリシャ、さらにはチベット医学にも影響を与えたとされています。日本においても7世紀から8世紀ごろ、仏教と共に使用されていた薬が伝来し、アーユルヴェーダの影響を受けた仏教医学が日本最古の医学書にも紹介されています。しかしながら、日本では5世紀に中国大陸発祥の中医学が伝来して以降、それをもとにした独自の医学が発展していたため、インド発祥の医学が紹介されるのは大正時代に入ってからのことでした。

現在の日本でアーユルヴェーダの治療として広まっているのは、1990年代にアメリカで発祥したブームによって広まった、特徴的なオイルマッサージです。アーユルヴェーダの考え方では、ドーシャと呼ばれる生命エネルギーのバランスの均衡が崩れることにより病気が起こると考えられており、それを整えるために治療が行われます。マッサージには多くの場合温めたゴマ油が用いられますが、オリーブオイルやココナッツオイルなども、その人の体質に合わせて用いられます。マッサージの手技はユナニ医学の影響もあり、西洋的なものと日本におけるあんまなどの揉み治療と同じような東洋的ものが融合したもので、心臓から末端に向けて行われる施術の流れは東洋的な手法です。また、精神的な疲れに効果が期待できるシロダーラもアーユルヴェーダに特徴的な施術の一つで、ヘッドマッサージの後、頭部にオイルを垂らすことでオイルがマッサージを行うものです。少しずつオイルの落ちる位置を変えながら行われる施術は瞑想をしているのと同じ状態を呼び起こしやすく、脳がリラックスすることによる精神的な良い効果が期待できます。